2025.6.25

“量より質”のSNS運用へ|Instagramで実践するコミュニティ型アカウントの作り方

かつてのInstagram運用といえば、「フォロワー数をいかに増やすか」が大きな指標でした。
しかし近年では、SNSのアルゴリズムやユーザーの行動変化により、単純な数よりも“つながりの深さ”が成果に直結するようになってきています。

この流れの中で注目されているのが、「コミュニティ型アカウント運用」という考え方。
ただの“情報発信ツール”としてではなく、フォロワーとの信頼関係を築き、ブランドへの共感や継続的な接触を生み出す場としてInstagramを活用するスタイルです。

「投稿にいいねやコメントがつかない」「フォロワーは多いのに購入に繋がらない」
そんな悩みを抱える企業にこそ、この“量より質”のコミュニティ型運用は大きなヒントになるはずです。

本記事では、Instagramを活用したコミュニティ型アカウントの特徴や成功事例、具体的な運用ステップまでを解説します。
「エンゲージメントを重視した運用にシフトしたい」と考える企業にとって、実践的なガイドになるはずです。

目次

1. 「フォロワー数が正義」時代の終焉

かつてInstagram運用において、企業が重視していたのは「フォロワー数」でした。
フォロワーを増やせば増やすほど、投稿のリーチも広がり、売上や認知度アップにつながる──そんな“数の論理”が長らく常識とされてきました。

しかし、今のInstagramではその常識が通用しなくなっています。

アルゴリズムは“関係性”を重視するように

Instagramの表示ロジックは、フォロワー数よりもエンゲージメント率(=関係の深さ)を重視するように変化しています。

・いいね、コメント、シェア、保存などの“リアクションの濃さ”

・DMやストーリーズの返信など、“双方向のやりとり”

これらがあるほど、Instagramは「このユーザーにとって有益な投稿だ」と判断し、発見タブやリール面に優先的に表示する仕組みになっています。

つまり、数だけを増やしても、ユーザーの反応が薄ければ表示されない=見られないというのが現在の現実です。

実際に成果を出しているアカウントの特徴

企業アカウントでも、エンゲージメント重視に舵を切ったアカウントほど反応が良く、売上にも直結しています。

・フォロワーが1万人未満でも、コメントが毎投稿10件以上ついている

・ストーリーズでのアンケートや返信を通じて、ブランドとの距離感を縮めている

・フィード投稿の保存数がシェア数よりも多く、「あとで見返したい」投稿になっている

こうしたアカウントは、ファンとつながっていることそのものが資産となり、SNSを軸にした販促力・ブランド力を持つようになります。

2. コミュニティ型アカウントとは?その定義と特徴

「コミュニティ型アカウント」とは、情報を一方的に発信するのではなく、フォロワーと“共感”や“会話”を通じて関係性を育てていくアカウントのあり方です。

ただ商品やサービスを紹介するだけではなく、
ユーザーが自分ゴトとして参加できる“空気感”や“仲間意識”を持たせることが特徴です。

コミュニティ型アカウントの主な特徴

① 主語が「私たち」「一緒に」になっている

単なる企業の発信ではなく、「あなたと私たちが一緒に作っている」感覚がある投稿が多くなります。

例:

・「今日はこんな日でした。一緒に振り返りましょう☕️」

・「◯◯部、今月も活動レポートお届けします!」

このような語り口により、フォロワーが“当事者意識”を持ちやすくなるのがポイントです。

② 投稿テーマが自分ゴト化しやすい

“企業の都合”ではなく、“ユーザーの気持ち”に寄り添ったテーマ設定がされています。

例:

・「雨の日の過ごし方、みんなはどうしてる?」(雑貨・インテリアブランド)

・「今週がんばったこと、コメントで教えてください」(食品・生活系)

共感や参加が自然に起こることで、いいねやコメントが増え、アルゴリズムにも好影響を与えます。

③ ストーリーズやDMを使った“小さな会話”が多い

コミュニティ型の運用では、ストーリーズのアンケートや質問機能、DMでの反応など、日常的なやり取りを重視します。

・「このアイテム、どっちが好き?」という選択式ストーリーズ

・投稿に寄せられたコメントへ、丁寧にリアクションを返す

・DMに届いた感想をストーリーズで紹介(許可を得て)

フォロワーとの小さな接点が積み重なることで、「このブランドは私のことを見てくれている」と感じてもらえるのです。

④ フォロワー=リスナーではなく、メンバーという考え方

企業発信型のアカウントでは、「見てもらう」ことがゴールになりがちですが、
コミュニティ型では**「一緒に作る」や「共に過ごす」がゴール**になります。

・ユーザー投稿を紹介・リポスト

・フォロワーの声から企画が生まれる

・ブランドの世界観を一緒に育てている

これが、ファンベースの運用売上につながる関係性を両立できる仕組みです。

3. 成功している企業アカウント事例

「コミュニティ型アカウントって本当に効果あるの?」
そんな声に応えるべく、ここでは実際に“ファンとのつながり”を軸に成果を出している企業アカウントを紹介します。

① @innisfree_japan(イニスフリー)|ファン参加型レビューでUGCを活性化

韓国発の自然派コスメブランド・イニスフリーは、日本のInstagramアカウントでもコミュニティ的な距離感の近さを大切にしています。

・フォロワーに向けて新商品モニターやレビュー募集を定期的に実施

・投稿内で「#イニスフリー部」「#私の肌物語」など、共通のハッシュタグで“部活動感”を演出

・ストーリーズで寄せられた感想を紹介することで、フォロワーが「参加してる感」を実感

このようなユーザー主体の投稿誘導により、UGCが自然に生まれ、ブランドの信頼性が高まっています。

IG:イニスフリー

② @mizunojapan(ミズノ公式)|共通の価値観で“部活動型アカウント”に

スポーツ用品メーカーのミズノは、競技別にアカウントを分けて「◯◯部」のようなコミュニティ形成をしています。

・野球・陸上・バドミントンなどジャンル別のファンが集まりやすい構成

・練習風景や大会に出場する学生・一般人の写真を紹介 → “頑張る人を応援する”空気感を醸成

・フォロワーとの距離感が近く、投稿へのコメントやストーリーズのリアクション率が高い

「スポーツを愛する人同士のつながり」という価値観で一体感をつくり、ブランドの“応援され力”を育てています。

IG:ミズノ公式

③ @chano_ma(チャノマ)|日常に寄り添う投稿でコメントが自然と集まる

カフェ&ダイニング「chano-ma」は、“特別じゃない日常”をテーマに、フォロワーとのやさしい関係性を築いています。

・「今日はどんな気持ちで過ごしましたか?」など、問いかけスタイルの投稿

・ストーリーズで「あなたにとっての“ちょっとした幸せ”は?」と聞く→DMや返信が多数

・フォロワーの声を集めてカルーセル投稿としてまとめるなど、双方向の運用が丁寧

結果的に、毎回の投稿に数十〜百件以上のコメントが集まり、保存率も高いという好循環を生み出しています。

このように、コミュニティ型アカウントの運用は業種を問わず導入でき、
「ファンとの距離感を設計することで成果を出している」という共通点があります。

IG:チャノマ

4. なぜ今、コミュニティ型運用が成果につながるのか?

「コメントが多いアカウントが羨ましい」
「うちはいいねばかりで反応が薄い」
──そんな声が増えてきたのには、ちゃんと理由があります。

Instagramのアルゴリズムや、ユーザーのSNSに対する接し方の変化が、“コミュニティ的な関係性”を持つアカウントの優位性を高めているのです。

① アルゴリズムは“リアルな関係”を重視している

Instagramは現在、以下のようなエンゲージメントを特に重要視しています。

・コメント(特に長文コメント)

・保存(=役立つ・見返したいという意図)

・DMでのやり取り

・ストーリーズでのアクション(返信・スタンプ・リンククリックなど)

これらはすべて、「ユーザーが投稿に深く関わった」証拠
アルゴリズムは「関心度が高い投稿」と判断し、他のユーザーにも表示しやすくなる仕組みです。

つまり、ファンとのつながりを深めるコミュニティ型運用こそ、露出増加に直結しているのです。

② エンゲージメントが“売上に直結する”時代に

フォロワーが多くても、関係が薄ければ反応も薄く、当然ながら購入にもつながりにくくなります。
逆に、フォロワーが少なくても濃い関係が築けていれば、投稿1つで商品の購入や予約につながるケースも珍しくありません。

たとえば──

・「いつも見てるアカウントが紹介してるから買いたい」

・「この投稿で自分の悩みが解決されそうだと思った」

・「あのコメントで背中を押された」

…そんな“感情のきっかけ”を生むことこそが、コミュニティ型アカウントの強みです。

③ 「企業っぽくない」ことで離脱率が下がる

商品情報ばかりを並べる投稿は、ユーザーにとって“広告感”が強くなり、読み飛ばされがちです。
一方で、コミュニティ型アカウントでは、日常の話題やフォロワーの声に寄り添った投稿が多く、自然に読み進められます。

結果として──

・フォロー継続率が高い

・投稿の平均滞在時間が長い

・ブランドへの心理的ハードルが下がる

という形で、長期的なファン化と成果の安定化につながっていきます。

5. 企業が始めるための3ステップ+よくある誤解

「コミュニティ型運用ってハードル高そう…」
そう思う担当者も多いかもしれませんが、実は小さな工夫からでも始められる運用スタイルです。

ここでは、企業がすぐに取り入れられる3ステップと、誤解されがちなポイントを紹介します。

ステップ① アカウントの“主語”を明確にする

まずは、発信の中心に“誰の言葉として発信するのか”を決めましょう。

・「〇〇部の担当Aです」

・「私たちのチームで作ってます」

・「ユーザーと一緒に〇〇を考える場です」

この“主語の設計”こそが、ただの広報アカウントとの差別化ポイントになります。
フォロワーが「誰とつながっているのか」が見えると、反応率もグッと高まります。

ステップ② フォロワーの声を拾いやすい投稿設計

投稿内容を「伝える」から「聞く・共感する」にシフトしましょう。

・キャプションの最後に「あなたはどう思いますか?」と投げかける

・ストーリーズでアンケートや質問箱を使う

・コメントやDMへのリアクションを積極的に返す

フォロワーに「話しかけられてる」「参加できる」と感じてもらうことで、自然とコミュニティ感が生まれます。

ステップ③ 運用担当の“顔”と“距離感”を出す

企業アカウントでも、“中の人”の存在を出すことでフォロワーとの距離感が縮まります。

・投稿内に「スタッフのお気に入り」や「今日のひとこと」など個人的要素を少し入れる

・ストーリーズで“中の人”のおすすめやオフショットを見せる

・名前やキャラ(Aさん・Bさん)で親しみを感じてもらう設計

無理にキャラをつける必要はありませんが、「相手が誰かわかる」だけで共感や安心感が生まれやすくなります

よくある誤解

「コメントを全部返さなきゃいけない」「投稿数を増やさなきゃいけない」

コミュニティ型運用は“密度”が大切であって、“数”ではありません。
コメントやDMに全部対応できない場合でも、返せる範囲で心を込めて対応することが信頼につながるのです。

まとめ|フォロワーの“数”より“つながりの質”で選ばれるアカウントへ

これまでSNS運用の成果を測る上で、重要視されてきたのは「フォロワー数」や「インプレッション数」といった“量”の指標でした。
しかし、今はInstagramをはじめとしたSNS全体で、“つながりの深さ”や“関係性の濃さ”が評価される時代に変わってきています。

そんな中で注目されているのが、「コミュニティ型アカウント運用」です。

・フォロワーを“メンバー”として扱う設計

・会話や共感を生む投稿づくり

・ストーリーズやDMを通じた小さな対話の積み重ね

これらの工夫が、エンゲージメントの向上だけでなく、ブランドへの信頼・共感・購買行動へとつながっていきます。

「たくさんの人に届けたい」ではなく、
「必要な人に、ちゃんと届くアカウント」を目指す。

それが、これからのSNS運用において最も強い武器になります。

「数字を追う運用から、信頼を築く運用へ」
その第一歩として、コミュニティ型運用にチャレンジしてみませんか?

もし社内だけでは運用が難しいと感じたら、“量より質”の運用に強いSNS運用代行という選択肢もあります。

つながりの質を育て、成果につながるInstagram運用──
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