2025.11.14
住宅Instagramで施工事例を伸ばす方法|“ストーリー構成”で暮らしを想起させる投稿術
住宅業界のInstagram運用で最も多く見られるのが、施工事例の投稿です。
完成した住宅の外観や内装を美しくまとめた写真は、ブランドの品質や施工技術を伝えるうえで欠かせません。しかし、実際の運用現場では「投稿しても反応が伸びない」「保存されにくい」「同業他社との差が出にくい」という課題がよく聞かれます。
その理由は、投稿が「情報を並べるだけ」になっているからです。
アルバムのように完成写真を並べるだけでは、ユーザーにとっては“眺める投稿”で終わってしまい、共感や憧れの感情が生まれにくくなります。住宅購入を検討している人が本当に知りたいのは、家そのものの美しさではなく「どんな暮らしがその家で始まるのか」という未来のイメージです。
今求められているのは、“作品紹介”ではなく“暮らしのストーリー”として施工事例を伝える投稿です。
建てる前から完成までの流れや、そこに込められた考え方を丁寧に構成すれば、ユーザーは家づくりの過程に感情移入しやすくなります。結果として、保存や共有といった行動につながり、アカウント全体の信頼性も高まります。
本記事では、施工事例投稿を“ストーリー性のあるコンテンツ”へと進化させる方法を解説します。
写真やテキストをどう構成すれば「暮らしを想像できる投稿」になるのか、そして保存・共有される投稿にするための実践ポイントを整理していきます。
目次
第1章 施工事例投稿が伸びにくい理由と、ユーザーが求めている情報の変化

Instagramでは、住宅ブランドや工務店、ハウスメーカーの多くが施工事例を中心に発信しています。
しかし、その多くが「美しいけれど印象に残らない」という共通の課題を抱えています。フォロワー数が伸びず、保存数や問い合わせ数も停滞する背景には、ユーザーの閲覧行動の変化があります。
1. 施工事例が「情報」として埋もれやすい時代に
住宅関連の投稿は年々増え続け、同じような構図やトーンの写真が多く並ぶようになりました。ユーザーにとっては、「きれいな家の写真」はもはや珍しくありません。
そのため、完成写真を何枚も並べただけでは、他の投稿との差別化が難しくなっています。
特に、Instagramのアルゴリズムでは「滞在時間」「保存数」「共有数」が評価に直結します。単に写真をスクロールされるだけでは、評価指標に結びつかず、リーチも広がりにくくなります。
2. ユーザーは「家そのもの」より「暮らしのリアル」を求めている
住宅を検討するユーザーの関心は、建物のデザインや仕様だけではありません。
「この家でどんな日常が生まれるのか」「実際に住んでみるとどう感じるのか」など、よりリアルな暮らしのイメージを求めています。
つまり、施工事例投稿の目的は“完成した家の紹介”ではなく、“暮らしの想起”に変化しています。
ユーザーが保存したくなる投稿は、「デザインが好き」よりも「こんな生活をしてみたい」と感じるものです。
そのため、Before→Afterや住まい手の声、スタッフの一言など、“背景やストーリーが伝わる要素”が欠かせません。
3. 企業発信ではなく「体験共有」としての投稿が求められる
以前は、企業目線の投稿でも一定の効果がありましたが、現在の住宅業界では、ユーザーが“人の体験”を重視する傾向が強まっています。
家づくりの過程を追体験できる投稿や、建築士・営業担当のコメントなど、情報の中に「人の視点」があるだけで印象が変わります。
「企業が伝える施工例」ではなく、「人が関わって生まれた家」という見せ方に変えることで、ユーザーが共感しやすくなります。
この“共感の設計”こそ、アルゴリズムにもユーザー心理にも強く作用する要素です。
第2章 Before→Afterだけに頼らない「ストーリー構成」への転換

住宅の施工事例で多く使われる構成が「Before→After」です。
リフォームや新築の変化を一目で伝えられるため、分かりやすく反応も得やすい手法です。
しかし、近年はBefore→Afterの投稿が飽和し、変化の大きさだけでは注目を集めにくくなっています。
ユーザーが求めているのは、「変化の結果」ではなく「変化の過程」や「暮らしの背景」 です。
1. Before→Afterは「物語の一部」として使う
Before→After自体が悪いわけではありません。
ただ、それを“1投稿の中心”に据えるのではなく、“ストーリーの一部”として組み込むことが重要です。
たとえば、
- Before:「この家の課題は日当たりの悪さと収納の少なさでした」
- 施工中:「窓の位置とキッチン動線を調整しました」
- After:「自然光が入る明るいリビングに生まれ変わりました」
このように「課題 → 解決 → 結果」の3段構成にすると、ユーザーはただの写真変化ではなく、“考え方”や“工夫”に共感を覚えます。
住宅業界では、この「ストーリー型Before→After」が特に効果的です。
2. 1枚目で「問題提起」する構成が印象に残る
投稿の1枚目は“スクロールを止める”ための要素が欠かせません。
完成写真よりも、課題や意図を感じさせる1枚を置くことで、ユーザーの興味を引けます。
例としては、
- 「このスペース、どう活かす?」
- 「家族4人の生活動線を見直した結果…」
- 「築20年の家が、光の入り方でここまで変わる」
といった“問いかけ”や“期待感”のある構成にすることで、自然と続きを見たくなる流れを作れます。
3. ストーリー構成は「暮らしを想像できるか」で判断する
施工事例を見たユーザーが「この家いいな」と思う瞬間は、間取りや素材の説明よりも、“暮らしのシーンが思い浮かんだ時”です。
そのため、投稿設計の段階で「この家でどんな日常が描けるか」を意識しておくと、構成に一貫性が生まれます。
例:
- 朝日が差し込むダイニングで家族が朝食を取るイメージ
- リビングのソファで子どもが絵本を読んでいる様子
- 休日にキッチンで料理を楽しむ時間
このような「生活シーン」を想定して構成することで、施工事例投稿が“完成紹介”から“暮らし提案”へと変わります。
第3章 「暮らしを想起させる」ビジュアルとテキストの設計

施工事例投稿をストーリー性のある発信に変えるうえで欠かせないのが、“暮らしを想起させる構成”です。
住宅業界のInstagramでは、写真の美しさだけでなく「その空間で過ごす自分を想像できるか」が、保存・共有につながる鍵になります。
ここでは、ビジュアルとテキストの両面から、暮らしを感じさせる投稿設計のポイントを整理します。
1. 写真選定は「空間の使われ方」がわかるものを優先する
完成写真を撮影するとき、つい全体のバランスや建物の形を中心に撮りがちですが、ユーザーが最も関心を持つのは“空間の使い方”です。
リビング、キッチン、寝室など、具体的な生活シーンが思い浮かぶ構図を選ぶことで、同じ家でも印象が大きく変わります。
たとえば、
- テーブルにコーヒーカップを置く
- クッションや観葉植物を配置して生活感を演出する
- 窓の外の光や影を取り込む
といった“人の気配を感じるディテール”を加えることで、ユーザーの想像が膨らみます。
無人の室内写真でも、少しの演出で温度感を伝えることができます。
2. テキストは「仕様説明」ではなく「暮らしの言葉」で書く
住宅アカウントでよく見られるのが、
「天井高3.5m」「オーク材のフローリング」「断熱性能UA値0.46」といったスペック説明です。
もちろん信頼性を示すには大切ですが、投稿本文では“暮らしを感じる言葉”を優先すると印象がやわらかくなります。
例:
- 「吹き抜けのあるリビングは、朝の光がやさしく広がります」
- 「キッチンから家族の顔が見える時間が増えました」
- 「木の香りがする玄関で、帰るたびにほっとする空間です」
このように、体験を描く表現を使うことで、“住まい手の視点”が伝わりやすくなります。
住宅業界のInstagramでは、スペックよりも「心が動く言葉」が共感を生む傾向があります。
3. 「静と動」の写真構成で流れを作る
1枚目から最後まで同じトーンで写真を並べると、ユーザーが途中で離脱しやすくなります。
そのため、施工事例投稿は「静→動→静」と緩急をつける構成がおすすめです。
- 1枚目(静):印象的な外観や特徴的な一枚で興味を引く
- 2〜3枚目(動):施工中やスタッフの姿、光の動きなど変化を感じるカット
- 4枚目以降(静):完成後の落ち着いた空間や暮らしの瞬間を見せる
このように「動きのあるストーリーライン」を設計することで、ユーザーが最後まで見てくれる確率が上がります。
関連記事→https://coco-and.jp/blog/instagram-restaurant-stories-strategy/
第4章 保存・共有される投稿にするための構成ポイント

施工事例投稿の最終的な目的は、「見てもらうこと」ではなく「行動につなげること」です。
住宅業界では、いいね数よりも保存・共有の数が今後の来場や問い合わせに直結します。
ユーザーが「後で見返したい」「誰かに見せたい」と思う投稿には、いくつか共通の構成要素があります。
1. 「まとめ要素」を含めて“再閲覧の理由”をつくる
保存される投稿は、単なる施工写真ではなく“参考資料として残せる内容”であることが多いです。
そのため、投稿の最後に「まとめ」や「ポイント整理」を加えると、再閲覧率が上がります。
例:
- 「この家づくりで大切にした3つのこと」
- 「リビングづくりのポイントを簡単にまとめました」
- 「家事動線を整えるアイデアはこちら」
こうした整理パートがあると、ユーザーは“自分の家づくりにも使える”と感じ、保存や共有に行動が移りやすくなります。
2. 「自分ごと化」できる工夫を加える
住宅の施工事例は「すてきだけど、自分には関係ない」と思われがちです。
その壁を越えるには、ユーザーが自分の生活に置き換えられる要素を含めることが大切です。
たとえば:
- 家族構成(例:共働き夫婦+子ども2人)を紹介する
- 土地の特徴(例:旗竿地/狭小地など)を明示する
- 設計の意図を簡潔に伝える(例:「光を取り込みながら外からの視線を遮る設計です」)
こうした具体的な情報を添えると、ユーザーが「自分もこういう家にできるかも」と感じやすくなります。
3. シェアされる投稿は「感情を動かすひと言」がある
共有される投稿には、必ず“誰かに伝えたい”と感じさせる要素があります。
それはデザインの完成度だけでなく、短いけれど心に残る言葉です。
例:
- 「家づくりは、家族の“これから”を形にする時間です」
- 「明るい家をつくるために、光の入り方を設計から考えました」
- 「この景色を家の一部にしたい、という想いから始まりました」
こうした感情的な一文を1投稿の中に入れるだけで、共有率が高まります。
“伝えたい投稿”として拡散されると、ブランドの信頼や認知にもつながります。
第5章 住宅アカウントが実践すべき運用ルールと発信リズム

施工事例投稿をストーリー性のある形で展開するには、投稿単体のクオリティだけでなく、アカウント全体の発信リズムも重要です。
「どの順番で」「どの頻度で」施工事例を出していくかによって、ユーザーが受け取る印象や保存率が大きく変わります。
1. 投稿順序は「導入→事例→まとめ」で構成する
施工事例を単発で投稿するのではなく、ひとつのテーマを“シリーズ化”して発信することで、ユーザーの記憶に残りやすくなります。
具体的には以下の流れです。
- 導入投稿:「◯◯の家づくりが始まりました」など、テーマ紹介
- 施工事例投稿:Before→After+暮らしのストーリー
- まとめ投稿:「この家づくりで大切にしたポイント3つ」など、振り返り要素
この流れをひとつの物語として投稿していくと、ユーザーはアカウント全体を「読む」ように閲覧してくれます。
2. 月ごとのテーマを決めて発信リズムを作る
住宅業界では、季節やイベントに合わせた投稿も効果的です。
たとえば以下のように、月ごとにテーマを設定すると一貫性のあるアカウント運用ができます。
- 1月:冬の日差しを活かした家づくり
- 3月:新生活に合わせた間取り提案
- 6月:梅雨時期の快適な家
- 9月:秋の光を取り込む設計事例
このようにテーマを設定しておくと、施工事例を出すタイミングや構成に迷わず、計画的な更新が可能になります。
3. 投稿の役割を分けて“軸”を作る
施工事例ばかりを続けて投稿すると、ユーザーの興味が分散してしまうことがあります。
そのため、投稿には「役割」を持たせて構成すると効果的です。
- 共感投稿:家づくりの想いや暮らしの価値を伝える
- 事例投稿:具体的な施工例を紹介する
- 導線投稿:見学会や資料請求への誘導を行う
この3つを交互に配置することで、発信にリズムが生まれ、ユーザーが飽きずにフォローを続けやすくなります。
特に「共感投稿」はブランドのファン化を促す役割を持ち、長期的な信頼構築につながります。
関連記事→https://coco-and.jp/blog/instagram-enjo-avoid-manual/
まとめ 施工事例投稿を“作品紹介”から“体験共有”へ
住宅業界のInstagram運用において、施工事例は最も重要な発信軸の一つです。
しかし、写真を並べるだけの投稿では、情報があふれる中で埋もれてしまいます。
いま必要なのは「きれいな家を見せる」から一歩進んで、「その家でどんな暮らしが生まれるのか」を伝える視点です。
本記事で紹介したように、
- Before→Afterを“変化のストーリー”として構成する
- 写真とテキストの両面で“暮らしを想起させる”設計にする
- 保存・共有される構成と発信リズムを意識する
これらを意識することで、施工事例投稿は単なる作品紹介ではなく、体験を共有するコンテンツに変わります。
ユーザーが「この家での生活を想像してみたい」と感じる瞬間を生み出すことが、最終的にブランドへの信頼と来場につながります。
施工事例は住宅ブランドの「世界観」を最も自然に伝えられるコンテンツです。
ひとつひとつの投稿を“ストーリー”として設計し、長く見返されるアカウントを育てていくことが、今後の住宅SNS運用における差別化の鍵になります。
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