2025.10.23

SNS運用担当者が絶対に押さえるべき「Instagramの炎上回避マニュアル」|人物写り込み・著作権・広告表記の注意点

Instagram運用において最も怖いのは、「炎上しそうな投稿を見抜けないまま公開してしまうこと」です。誤字や多少の表現ミスであれば修正できますが、人物の写り込み・著作権・広告表記に関するトラブルは、一度拡散されると削除では解決できません。

多くの炎上は、悪意ある投稿ではなく「良かれと思って載せた写真」や「雰囲気を良くしようと付けた一言」から発生します。

  • 店内風景を撮ったら お客様の顔がしっかり映っていた
  • 人気の楽曲をBGMに使ったリールが 著作権違反で削除された
  • 商品紹介に “PR”の表記を入れ忘れてステマ指摘を受けた

どれも「知らなかった」だけで済まされないケースです。炎上が発生すると、クレーム対応に追われるだけでなく、「この店は配慮が足りない」という印象が長く残ってしまうことが大きな損失になります。

本記事では、SNS運用担当者が最低限押さえておくべき「Instagram特有の炎上リスク」を整理し、“何を避ければ安全に運用できるか”を具体的に解説します。

目次

第1章 Instagram特有の炎上リスクは「写り込み・引用・PR表記」の3種類に集約される

炎上の理由は多岐に見えますが、Instagram運用におけるリスクは大きく分けると次の3種類に整理できます。

リスクの種類主な発生パターン問題の本質
① 人物の写り込み(肖像権・プライバシー)店舗の風景・イベント写真などに一般客や子どもが映り込む「許可なく顔を公開された」という権利侵害
② 著作物の無断利用(音楽・画像・イラスト)リールに人気楽曲を付ける/他人の写真を引用して紹介する「その素材を使う権利がない」状態での公開
③ ステマ規制(広告・PR表記漏れ)商品提供やコラボであるにもかかわらず、“宣伝であること”を明示しない「広告であることを隠した宣伝」になる

この3項目さえ正しく理解できていれば、大半の炎上やクレームは事前に回避できます。逆に言えば、「意識していないまま運用を続けていると、いつの間にか誰かの権利を侵害してしまう」とも言えます。


特にInstagramでは「偶然映り込む」「知らずに使ってしまう」が最も危険

TwitterやXではテキスト中心の投稿が多いため、「表現の誤解」から起こる炎上が目立ちます。しかしInstagramは画像・動画中心のプラットフォームであり、リスクは “意図せず映ってしまったもの”や“何気なく使った素材” から発生する傾向があります。

  • 「背景に映っている他人の顔」
  • 「店内BGMがそのまま録音されたリール」
  • 「ネットで拾った画像を引用しただけの紹介投稿」

これらは本人に悪気がなくても、“相手側から見れば権利侵害” となるケースが多く存在します。


次の章では、この中で最もトラブルが起きやすい 「人物の写り込み」 について、どこまでが許容されるのか、どう回避すべきかを具体的に解説します。

第2章 人物の写り込みトラブルを防ぐには「顔が映っていないこと」が最低ラインになる

Instagram運用で最も多い炎上トラブルが 「知らないうちに人の顔を公開してしまったケース」 です。飲食店・イベント・セミナー・店舗販売など、背景に人が入りやすい環境では特に注意が必要です。


「ぼかせばOK」ではなく「顔が認識できないこと」が基準になる

一般的に 肖像権やプライバシーの観点で問題になるのは「個人が特定できる状態」かどうかです。

状態リスク
顔がはっきり写っている完全にNG(許可なしで公開は不可)
横顔・後ろ姿・マスク・帽子などで識別できない基本的にはセーフ
顔は映っていないが、服装・場所・シチュエーションで個人が推測できるグレーゾーン

「ぼかせばセーフ」と言われることもありますが、本人が見れば自分だとわかる場合はクレーム対象になり得るため、安全策としては 「そもそも人の顔が写らない構図で撮る」ことが推奨されます。


店舗・イベント運用での「回避テクニック」

シーン撮り方の工夫
店内写真テーブルや料理を前景に/客席はフレーム外
イベント・セミナー後ろ姿だけ/手元だけ/頭の高さより下で撮る
レジ・会計風景手元+商品だけ/顔は写さない構図

インスタ映え写真を撮りたい場合でも、「人が主役の構図」ではなく「料理・物・空間を主役にする構図」に切り替えるだけでトラブルの9割は回避できます。


もし「お客様が写る投稿をしたい場合」は?

例外的に “協力してくれるお客様モデル” を用意するケースでは、以下の2点を必ず行います。

  • 「撮影と投稿に同意済み」であることを口頭ではなく書面・LINE等で残す
  • 投稿時に「ご協力いただきました」等の表記を添えると安心感が増す

自然体のお客様風に見えていても、実は“協力モデル”であるケースは多くあります。撮影許可が曖昧な一般客をそのまま載せるのは絶対に避けるべきです。


次の章では、同じく見落とされやすい 「著作権・音源・画像引用」の回避ポイント を整理していきます。

関連記事→2025年版|Instagramストーリーズ運用の最新戦略4選

第3章 音源・画像・引用トラブルは「公式提供素材を使う」が最も安全

Instagramでは、リールで音楽を使ったり、他のメディアやサイトから画像を引用したりする場面が多くあります。しかし、 「SNSだから大丈夫」「個人利用だからセーフ」 という考え方は通用しません。著作権に関するトラブルは、本人の意図に関係なく「利用規約に違反しているかどうか」で判断されます。


音源(BGM)の扱い:Instagram内の「公式音源」を使えば基本的に安全

リール動画に人気アーティストの楽曲を付けるとき、 Instagram内で提供されている「商用利用可能な音源」を検索して使用する場合は基本的にセーフ とされています。Instagramが音源提供元と包括契約を結んでおり、その範囲での利用は許可されています。

✅ 安全な音源の見分け方

音源の種類安全性見分けポイント
Instagram内の「音源」から選んだ楽曲原則OK曲名の下に「ミュージック」表記が出る
自分でアップロードした音源(CD・YouTubeから抽出など)NG権利処理されていない素材
店内のBGMが録音された動画(リール)NGになる可能性あり有名曲が明瞭に入っている場合は削除対象

店舗内でBGMが流れている状態をそのまま撮影してしまうケースは非常に多く見られますが、 「音がメインの状態」で楽曲が入っている場合は注意が必要 です。無音・オリジナル音声・効果音に差し替えるのが無難です。


画像・動画の引用:「出典を載せればOK」は誤解

他社の商品画像や、グルメサイト・ニュースメディアのスクリーンショットをそのまま載せるケースも多く見られますが、「出典を書けば使える」という考え方は誤りです。

✅ 引用して良いケース/ダメなケース

ケース判定理由
自社で撮影した画像✅ セーフ自分に権利がある
お客様から提供された写真(同意済み)✅ セーフ提供者からの許可あり
メディア記事やニュースサイトの写真❌ 原則NG報道機関や企業に著作権がある
Instagram他ユーザーの投稿をスクショして紹介❌ NG本人の許可が必要(リポストならDMで許可を得てから)

「どうしても使いたい情報がある場合」は、リンクを貼って誘導する形に切り替えるのが最も安全です。


企業の場合は「公式素材を用意しておく」のが鉄則

複数のスタッフがSNSを運用する場合、 「自由に使っていい画像・NG画像」を明確に区別して共有しておくことが重要です。

✅ 社内で共有しておくと安心な素材リスト

  • ✅ ストックOKフォルダ(自社で撮影した料理/許可済みカット)
  • ✅ リール用BGMリスト(企業イメージに合う公式音源)
  • ❌ 外部使用禁止フォルダ(商品開発中/人物が映っているものなど)

「知らずに使ってしまった」を防ぐには、“使って良いものだけで運用する”環境を整えることが最短の炎上回避策になります。


次の章では、 ステマ規制(広告表記ルール) についてわかりやすく整理します。

第4章 ステマ規制を避けるには「PR表記は必ず“目立つ場所に”載せる」

Instagram運用で見落とされがちな炎上リスクが 「広告であることを明示せずに投稿してしまうケース」です。とくに食品やコスメ分野では、企業から商品提供を受けたインフルエンサー・店舗スタッフが “通常投稿のように紹介してしまう” ことで、2023年以降はステマ規制の対象となるケースが増えています。


ステマ規制の基本ルールは「広告であることを隠さないこと」

2023年10月に施行された「ステルスマーケティング規制(景品表示法)」では、「広告であるにも関わらず、広告であることを明記していない表示」 が不当表示と見なされ、罰則の対象となります。

✅ 規制の対象になるケース

投稿内容規制対象か?理由
商品を無料でもらって紹介したのに、「提供」や「PR」と書いていない❌ NG宣伝であることを隠している
企業とのタイアップ記事を通常投稿に見せかけて掲載❌ NG消費者を誤認させる
自社商品の紹介投稿(公式アカウント)✅ セーフ自社で宣伝しているため

自社アカウントで自社商品を紹介する場合は問題になりません。しかし 「商品提供」「コラボ」「お客様投稿をリポスト」などの場合は、PR表記が必要になる可能性があります。


正しいPR表記の載せ方(Instagram推奨)

表記方法安全性掲載位置
本文冒頭に「【PR】」「#PR」「#提供」などを記載✅ 最も安全1行目 or キャプションの最初の方
ハッシュタグ欄の最後に「#PR」を載せる⚠️ 不十分「目立たない」と判断される可能性あり
画像内に小さく「PR」と入れる⚠️ 補足にはなるが単独では弱いキャプションでも併記する方が確実

リポストやUGCを紹介する場合も注意

「お客様の投稿を紹介しただけだから関係ない」と考えられがちですが、企業アカウントがUGCを“宣伝目的で活用する場合”は、PR表記の対象になる可能性があります。

✅ 安全な形にするなら

投稿文の頭に 「お客様投稿のご紹介です」「ご協力ありがとうございます」 といった表記を入れる

これにより、「企業が広告として意図的に使っている」ことを明示できるため、安全性が高まります。

関連記事→食品業界のSNS炎上回避術|信頼を守るためのX(旧Twitter)投稿ルール完全ガイド

第5章 炎上を防ぐための「社内チェックフロー」を明文化しておく

炎上リスクは知識だけでは防げません。複数人でInstagram運用を行う場合、担当者によって判断が揺らぎやすくなり、意図せず危険な投稿が公開されてしまうことがあります。最も効果的なのは、投稿前に確認すべき事項を一つの基準として明文化し、「チェックを通過したものだけ投稿する」という運用フローを確立することです。


投稿前に確認するべき三つの質問

以下の三点を確認するだけでも、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。

  • 写真や動画に「顔が特定できる人物」は映っていないか
  • 使用している音源や画像は「公式に利用可能な素材」か
  • 商品紹介や協力投稿である場合、「PR表記」は十分に明示されているか

この三つの問いに一つでも曖昧な点がある投稿は、一旦保留し、判断できる立場の人に確認を取ることが望まれます。


チェックシート形式にすると属人的判断を防げる

「何となく大丈夫そうだから」ではなく、「基準に照らして大丈夫と判断できるから投稿する」という仕組みに変えることで、担当者の経験値に依存しない安全な運用体制が整います。

例として、以下のような形式にまとめると共有しやすくなります。

投稿チェック項目(はい・いいえで確認)

  • 顔が判別できる人物は映っていない
  • 店内の音声に著作権がある音楽は含まれていない
  • 画像や動画は自社が権利を持つ素材である
  • 商品提供や協力がある場合はPR表記が冒頭に入っている

「全てはいの場合のみ投稿可」とルール化しておけば、判断に迷う場面でも基準に立ち戻ることができます。

まとめ Instagram運用での炎上は「意図しない写り込みと表記漏れ」で起こる

Instagramでの炎上やクレームの多くは、攻撃的な発言や過激な表現が原因ではありません。本人にとっては日常的な記録や、雰囲気を伝えるつもりの投稿であっても、第三者から見れば権利侵害や不適切な宣伝と判断されることがあります。

本記事で整理した通り、Instagram特有のリスクは大きく以下の三つに集約されます。

  • 顔が映った人物が特定できる状態で写り込んでいないか
  • 音源や画像などの素材は正規の利用範囲内か
  • 商品紹介や宣伝に該当する場合、PRであることが明示されているか

これらは「気をつける」だけでは防ぎきれません。投稿前に確認すべき項目をあらかじめ決めておき、判断基準を統一することで初めて、安全な運用が実現できます。

炎上リスクを正しく理解していれば、必要以上に恐れる必要はありません。守るべきポイントさえ押さえれば、利用者やお客様に安心感を与えるブランドとして発信を継続することができます。単にトラブルを避けるだけでなく、「信頼される発信者」としての姿勢を示すことこそが、結果的にファンを増やす第一歩になります。

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