2025.8.26

テキスト・画像・動画で差は出る?エンゲージメント率改善のデータ分析法

SNSを運用していると、「どんな投稿をすれば反応が増えるのか?」という悩みは必ず出てきます。テキストだけで投稿するのがいいのか、それとも画像や動画を添えた方がいいのか。あるいはリンクを入れるべきかどうか。感覚で試していると、その時々で結果が変わり、何を基準に改善すればいいのか分からなくなってしまう担当者も多いはずです。

そこで役立つのが 「エンゲージメント率をデータで分析する視点」 です。
投稿形式や内容を数値で比較していくと、自社アカウントにとっての「勝ちパターン」が見えてきます。これは単なる勘やトレンド追随ではなく、確かなデータに基づいた改善アプローチ。成果を安定的に積み上げるための大きな武器になります。

本記事では、テキスト・画像・動画といった投稿形式ごとの効果を整理しつつ、どのようにエンゲージメント率を改善していくかを具体的に解説していきます。

1章:エンゲージメント率とは何か?

エンゲージメント率は、SNSアカウントの「質的な成果」を測るうえで欠かせない指標です。単純にフォロワー数やリーチ数が多くても、投稿に対して反応がほとんどなければ、実際の効果は小さいといえます。だからこそ、企業のSNS運用においては「どれだけユーザーが行動してくれたか」を示すエンゲージメント率が重視されるのです。

エンゲージメント率の定義

プラットフォームによって多少の違いはありますが、一般的には以下のように算出されます。

エンゲージメント率 = エンゲージメント数(いいね・コメント・シェア・保存・クリックなど)

         ÷ インプレッション数(またはリーチ数)

つまり、投稿を見た人のうち「どれだけが何らかのアクションを取ったか」を割合で示すものです。

なぜ重要なのか?

  • アルゴリズム評価に直結する
    エンゲージメント率が高い投稿は「価値あるコンテンツ」と判断されやすく、さらに多くのユーザーに拡散される傾向があります。
  • ブランド信頼の指標になる
    フォロワーが積極的に反応している=共感や関心を得ている証拠。商品やサービスのファン化にもつながります。
  • 改善の基準になる
    投稿ごとのエンゲージメント率を比較すれば、何が効果的で何が伸び悩んでいるのかが明確になります。

2章:投稿形式別の効果(データで比較)

SNSの投稿は、同じ内容でも「形式」によって反応が大きく変わります。テキストだけで伝えるか、画像を添えるか、動画にするか。あるいはリンクを含めるかで、ユーザーの行動は異なります。ここでは、代表的な投稿形式を比較し、それぞれがエンゲージメント率にどのような影響を与えるかを整理します。

テキストのみ投稿

  • 特徴:最もシンプルで投稿の手間が少ない。
  • メリット:リアルタイム性やフットワークの軽さが強み。速報的な情報や「担当者の声」を出すと親近感が生まれる。
  • デメリット:視覚的なインパクトに欠けるため、スクロール中に流されやすい。

画像付き投稿

  • 特徴:写真やグラフィックを加えることで目を引きやすい。
  • メリット:商品・サービスを直接見せられる/インフォグラフィックで理解を助けられる。
  • データ傾向:画像付き投稿はテキストのみ投稿に比べ、平均1.5〜2倍のエンゲージメント率を獲得するケースが多い。

動画投稿

  • 特徴:もっとも情報量が多く、ユーザーの滞在時間を伸ばせる形式。
  • メリット:ストーリーテリングや利用シーン紹介に強い。特に短尺動画はシェアや保存に直結しやすい。
  • デメリット:制作コストが高い。継続運用には体制づくりが必要。
  • データ傾向:動画投稿はテキストのみの投稿より、平均2倍以上のエンゲージメント率を記録する事例が目立つ。

リンク付き投稿

  • 特徴:自社サイトや外部ページへ誘導する形式。
  • メリット:クリックによる具体的な成果(サイト訪問・問い合わせなど)につながる。
  • デメリット:プラットフォーム側は「外部誘導」を好まないため、リーチやエンゲージメント率は下がる傾向。
  • 改善の工夫:テキストや画像の中で「読む理由」をしっかり提示することが重要。

このように、形式によって「得意・不得意」がはっきりしています。
だからこそ企業アカウントでは「投稿目的」に応じて形式を選び、データを比較しながら改善していく必要があるのです。

3章:投稿内容・要素別の影響

投稿の「形式」だけでなく、文字数・ハッシュタグ・投稿時間・画像の種類といった細かな要素も、エンゲージメント率に大きな差を生みます。ここでは、企業アカウントが特に注目すべき要素を整理していきます。

文字数の長さ(無料ユーザー or X Premiumユーザー)

  • 無料ユーザー(最大半角280文字)
     シンプルでテンポよく伝えられるのが強み。スクロール中でも一瞬で理解されやすく、反応率が高い。速報やキャンペーン告知、短いメッセージに適している。
  • X Premiumユーザー(最大25,000文字)
     長文を投稿できるが、全文が表示されるわけではなく「続きを読む」を押さないと読めない形式になる。
     ただし、200~500文字程度の“やや長め”の投稿なら無料ユーザーとの差別化が可能。詳細な解説やストーリー性を加えられるため、保存やシェアにつながりやすい。

ハッシュタグの数

  • 3〜5個がベスト:多すぎると「宣伝感」が出て逆効果。
  • ブランド独自のタグを混ぜるとファン投稿の拾いやすさが増す。
  • データ上も「10個以上の乱用」はエンゲージメント率低下の傾向。

投稿時間

  • 昼休み(12時前後)/夜(20〜22時)は、多くの業種で反応率が高い傾向。
  • BtoB系は平日昼、BtoC系は夜や週末に伸びやすい。
  • 分析では、曜日によっても違いがあり「月曜は情報収集、金曜は軽めコンテンツ」が効果的という傾向が出やすい。

画像の種類

  • 人物が写っている写真:人間的なつながりを感じやすく、コメントやいいねが増えやすい。
  • 商品単体写真:購買意欲に直結。ただし生活感や利用シーンが加わるとさらに効果的。
  • インフォグラフィックや図解:複雑な情報を整理し、保存率を上げる。BtoB企業との相性が良い。

これらの要素は「正解がひとつ」ではなく、自社のフォロワー層や目的によって最適解が変わります。大切なのは 過去投稿を要素ごとに分解して分析し、仮説を立てること です。

4章:自社投稿の分析と改善ステップ

「どの形式・要素が効果的か」は企業ごとに異なります。そこで重要なのが、自社の過去投稿をデータで振り返り、改善サイクルを回すことです。以下の手順で進めれば、感覚に頼らずエンゲージメント率を底上げできます。

ステップ1:データを抽出する

  • まずはアナリティクスから直近7日の投稿データを取得。
  • 投稿ごとのインプレッション数、エンゲージメント数(いいね・コメント・保存・クリックなど)、エンゲージメント率を一覧化する。

ステップ2:形式別に集計する

  • テキストのみ/画像付き/動画付き/リンク付き など形式ごとに平均値を算出。
  • 「うちのアカウントは動画が平均○%高い」「リンク付きは低め」など、傾向を把握できる。

ステップ3:勝ちパターンを見つける

  • エンゲージメント率が高い投稿を抽出し、要素(文字数、画像の種類、投稿時間)を確認。
  • 「短文+人物写真+夜間」が強い、といった自社特有の勝ちパターンを仮説化する。

ステップ4:改善対象を分解する

  • 伸び悩んでいる投稿を分析し、「何が弱かったのか」を要素ごとに切り分ける。
     例)リンクを冒頭に置いたためクリック率は高いがいいねは少ない、など。

ステップ5:A/Bテストを繰り返す

  • 同じテーマで「画像あり/なし」「短文/長文」を出し分けて比較。
  • データが集まるほど仮説の精度が上がり、改善サイクルが加速する。

このプロセスを継続すると、「投稿が偶然当たる」から「安定して成果が出る」運用へと進化できます。数字を基準に判断することで、担当者の勘や好みに左右されず、社内でも説明・共有しやすいのが大きなメリットです。

5章:成果を出している企業事例

実際にエンゲージメント率を改善して成果を出している企業アカウントには、いくつかの共通点があります。ここではBtoCとBtoB、それぞれの事例を紹介します。

事例1:BtoC企業 ― 利用シーンを伝える動画で反応が倍増

ある食品メーカーは、これまで商品の写真中心で投稿していましたが、ユーザーの反応は「いいね止まり」で拡散にはつながりませんでした。そこで取り入れたのが 調理シーンや実食の短尺動画
結果、平均エンゲージメント率は従来比で約1.8倍に上昇し、保存やシェア数も増加。消費者が「自分ごと化」しやすいコンテンツが功を奏した例です。

事例2:BtoB企業 ― 専門知識を図解化して共感を獲得

あるIT企業では、技術的な知見をテキストだけで発信していましたが、読まれにくい課題がありました。そこで 複雑な情報を図解やインフォグラフィックで整理
投稿の保存率が大幅に伸び、営業資料代わりにシェアされるケースも増加。結果的にリード獲得にもつながり、「SNSから商談」というルートを築くことができました。

事例3:中小企業 ― 担当者の“人柄”を活かした発信

ある地方のカフェは、店舗情報や商品写真だけの投稿では伸び悩んでいました。そこで担当者が「日常の一言」や「スタッフの裏側エピソード」を添えるようにしたところ、コメント数が急増。
「人」を感じさせることで親近感が高まり、フォロワーのファン化につながった好例です。


これらの事例に共通するのは、「形式や内容をデータで見直し、改善を重ねたこと」です。単なる宣伝から一歩踏み込み、ユーザーの共感や行動を引き出す工夫を行った企業ほど、着実に成果を積み上げています。

まとめ

SNS運用における「エンゲージメント率」は、単なる数値ではなく ユーザーとの関係性の深さ を示す重要な指標です。フォロワー数やリーチ数だけを追いかけるのではなく、実際にどれだけの人が反応し、共感し、行動してくれたかを可視化できるからです。

本記事で見てきたように、テキスト・画像・動画・リンクといった投稿形式や、文字数、ハッシュタグ、投稿時間などの要素は、エンゲージメント率に大きな差をもたらします。自社に合った「勝ちパターン」を見つけるには、データを基にした分析と改善サイクルが欠かせません。

特に企業アカウントにおいては、担当者の勘や一時的なトレンドに頼るのではなく、アナリティクスを活用して「何が効果的か」を数値で裏付けることが求められます。これにより、社内への説明や戦略の説得力も増し、安定的に成果を積み上げることができます。

もし自社での分析や改善にリソースを割くのが難しい場合は、SNS運用代行を活用するのも一つの方法です。プロの視点でデータを読み解き、仮説検証を繰り返すことで、アカウントのエンゲージメント率を着実に高めていくことが可能になります。

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