2026.1.29
なぜ経営者のXは採用につながらないのか|応募ゼロを生む運用構造
経営者としてXで発信を続けているものの、「求人を出しても応募が来ない」「採用につながっている実感がない」と感じている企業は少なくありません。情報発信自体はしているのに、採用という成果に結びつかない状態が続くと、X運用そのものに疑問を感じてしまうこともあります。
その結果、「結局SNSは採用には向かないのではないか」「やはり求人媒体やエージェントに頼るしかない」と考えてしまうケースも見られます。しかし、実際には経営者の発信が採用に大きな影響を与えている企業も存在しており、成果が出ない原因は媒体そのものではなく、運用の構造にあることが多いのが実情です。
特に、採用と同時に企業ブランディングや組織づくりも進めなければならない成長フェーズの企業にとって、経営者の発信は単なる個人のSNS活動ではなく、企業の信頼形成にも直結する重要な接点になりつつあります。それにもかかわらず、採用視点で設計されていないまま運用されている経営者アカウントは少なくありません。
この記事では、なぜ経営者のXが採用につながらないのか、その構造的な原因を整理したうえで、求職者は投稿のどこを見ているのか、そして採用につなげるために経営者アカウントをどのように設計すべきかについて解説します。運用テクニックではなく、採用広報として機能させるための設計視点を整理することを目的としています。
目次
第1章|求人を出しても応募が来ない経営者Xの共通点

経営者がXで発信していても、採用に結びつかないケースにはいくつかの共通点があります。投稿頻度やフォロワー数だけを見ると、一定の運用はできているように見えるものの、求職者の視点で見ると「応募したい」と感じる情報がほとんど存在していない状態になっていることが多いのです。この章では、採用につながらない経営者Xに共通する運用の特徴を整理します。
会社視点の発信しかしていない
多くの経営者アカウントでは、事業の成果や業界ニュースへのコメント、経営論など、経営者として正しい情報発信が中心になっています。しかし、そこに「この会社で働くとどんな日常があるのか」「どんな人たちと仕事をするのか」といった視点がほとんど含まれていないケースも少なくありません。
経営者としての考え方が伝わること自体は重要ですが、求職者にとっては「この会社に入ったら自分はどんな環境で働くのか」が最も気になるポイントです。会社の視点だけで語られた発信では、働く側のイメージが湧かず、応募という行動につながりにくくなります。
採用情報がほとんど発信されていない
意外に多いのが、求人情報そのものがほとんど投稿されていないケースです。採用ページや求人媒体には情報を掲載していても、経営者のXでは採用についてほとんど触れていないという状況も珍しくありません。
その結果、フォロワーの中に求職者層が含まれていたとしても、「この会社は今採用しているのかどうか」が分からず、検討対象にすら入らない状態になってしまいます。採用したいと考えているにもかかわらず、発信上ではその意思がまったく伝わっていないことも、採用につながらない大きな要因の一つです。
働く人の気配がまったく見えない
採用につながらない経営者アカウントの多くでは、社員やチームの存在がほとんど見えてきません。投稿内容が経営や事業の話題に偏り、現場で働く人の姿やエピソードが共有されていないため、企業としての温度感が伝わりにくくなっています。
求職者は、給与や条件だけでなく、「どんな人たちと働くのか」「どんな雰囲気の職場なのか」といった点を重視しています。働く人の姿がまったく見えないアカウントでは、企業としてのリアリティが伝わらず、安心して応募できる状態を作ることができません。
経営者目線と求職者目線が噛み合っていない
経営者はどうしても、事業戦略や市場の話など、経営判断として重要なテーマを発信しがちです。しかし、求職者が知りたいのは、より生活に近い視点の情報です。働き方、評価のされ方、成長環境、失敗への向き合い方など、日々の仕事に直結する要素を知りたいと考えています。
この視点のズレが解消されないまま発信を続けていると、情報量は増えても、採用には結びつかない状態が続いてしまいます。運用の問題というよりも、そもそもの設計思想が採用向けになっていないことが、成果が出ない最大の原因になっているのです。
第2章|求職者は経営者アカウントのどこを見ているのか

採用につながらない経営者Xの多くは、「発信していれば何かしら伝わっているはず」と考えがちですが、求職者は投稿をかなりシビアな視点で見ています。すべての投稿を丁寧に読むというよりも、断片的な情報から「この会社で働くイメージが持てるか」「この経営者のもとで働きたいと思えるか」を無意識に判断しています。この章では、求職者が経営者アカウントを見る際に、実際にどんなポイントを見ているのかを整理します。
経営者の人柄と価値観
求職者がまず見ているのは、経営者の専門知識や業界理解よりも、「この人はどんな考え方をする人なのか」という人柄や価値観です。社員や顧客に対してどのような姿勢で向き合っているのか、困難な状況でどんな判断をするのかといった点から、その人の性格やスタンスを読み取ろうとします。
例えば、トラブルや失敗について触れる投稿があるか、現場の努力をどう評価しているか、成果だけでなく過程にも言及しているかといった要素は、求職者にとって重要な判断材料になります。経営者の発信から人間的な側面が感じ取れない場合、「どんな人の下で働くのか分からない」という不安が残り、応募に踏み切りにくくなります。
社員や組織への向き合い方
次に見られているのが、経営者が社員や組織をどう捉えているかです。社員を単なるリソースとして語っていないか、成果だけで評価していないか、成長や挑戦をどう支えているのかといった点が、投稿の端々から読み取られます。
社員の取り組みを紹介したり、チームで達成した成果に触れたりする投稿がある場合、求職者は「この会社では人が大切にされていそうだ」という印象を持ちやすくなります。逆に、事業成果や数字の話題ばかりが続くと、組織の雰囲気が想像できず、働くイメージが持ちにくくなります。
働き方や仕事観に対するスタンス
求職者は、給与や待遇だけでなく、「どんな働き方が求められるのか」「どんな姿勢が評価されるのか」といった仕事観も重視しています。長時間労働を肯定する発信が多いのか、成果よりもプロセスを重視する文化なのか、挑戦を歓迎するのか慎重さを求めるのかといった点は、投稿内容から自然と伝わります。
こうしたスタンスが見えない場合、求職者は入社後のギャップを想像してしまい、応募に慎重になります。経営者の発信は、会社の暗黙のルールや価値観を伝える役割も担っているため、意識していなくても採用判断に大きく影響しているのです。
成長環境がありそうかどうか
特に若手層やキャリアアップを目指す人材は、「この会社で成長できそうか」という視点で経営者の発信を見ています。新しい取り組みにどう向き合っているか、失敗をどう捉えているか、学び続ける姿勢があるかといった点から、成長環境の有無を判断します。
経営者自身が学びや試行錯誤を発信している場合、「この会社では挑戦が許されている」「変化を歓迎する文化がありそうだ」という印象を持たれやすくなります。一方で、成功事例や成果報告ばかりが並ぶアカウントでは、失敗が許されない環境ではないかと警戒されることもあります。
投稿全体から伝わる一貫性
求職者は、単発の投稿ではなく、アカウント全体の雰囲気から企業像を判断します。発信内容に一貫性がなく、その時々で話題が変わっている場合、「この会社は何を大切にしているのか分からない」と感じられてしまいます。
一方で、投稿テーマや価値観に一貫性があると、求職者はその会社の考え方を理解しやすくなり、「自分に合いそうかどうか」を判断しやすくなります。これは前回の記事で触れた「思考プロセスの発信」や「信頼設計」とも深く関わる部分であり、採用においても重要な要素になります。
第3章|なぜ経営者Xは採用広報として機能しにくいのか

前章で見たように、求職者は経営者アカウントから多くの情報を読み取っています。しかし現実には、経営者のXが採用広報として十分に機能していないケースが多く見られます。それは、経営者の発信が悪いというよりも、そもそも採用に向けた設計がされていないまま運用されていることが原因です。この章では、経営者Xが採用につながりにくい構造的な理由を整理します。
採用目的が設定されていないまま運用されている
多くの経営者アカウントは、「とりあえず発信する」「何か役に立つことを書こう」という状態から始まっています。その結果、投稿テーマは経営論、業界動向、個人の気づきなどが混在し、採用という目的に向けて最適化されていません。
採用につなげるためには、「どんな人に来てほしいのか」「その人に何を伝えるべきか」という前提設計が必要ですが、そこが整理されていないまま発信が続くと、求職者に刺さる情報が自然と不足してしまいます。運用が悪いのではなく、設計されていない状態で走り続けていることが問題なのです。
投稿テーマが企業の採用方針と連動していない
採用活動には、本来「求める人物像」「組織としての価値観」「今後の事業方針」といった明確な方針があります。しかし経営者のX運用では、それらと投稿内容が連動していないケースが多く見られます。
例えば、挑戦を重視する組織であっても、投稿では安全志向の発言ばかりが目立っていたり、チームワークを重視している会社であっても、個人の成果や努力だけが強調されていたりすると、実際の組織像とのズレが生じます。このズレは、求職者の期待値を誤らせ、入社後のミスマッチにもつながりかねません。
人事・広報施策と分断されたまま運用されている
経営者Xが採用につながらない大きな理由の一つが、社内の人事施策や広報活動と切り離されたまま運用されていることです。採用ページや求人媒体、会社紹介資料では組織文化や働き方を伝えているにもかかわらず、経営者の発信ではまったく別の話題が中心になっているケースも少なくありません。
本来であれば、採用広報は複数のチャネルが連動して設計されるべきですが、経営者Xだけが個人の裁量で動いていると、企業として一貫したメッセージが形成されません。その結果、求職者にとっては企業像がぼやけ、応募の意思決定がしにくくなってしまいます。
継続的な改善設計がされていない
採用につながる運用には、投稿の反応や応募数の変化を見ながら改善していく視点が欠かせません。しかし、経営者Xでは「何が採用に効いているのか」「どの投稿が応募につながったのか」といった検証がほとんど行われていないことも多いのが実情です。
結果として、良かった投稿も悪かった投稿も分析されないまま、感覚的に発信が続いてしまい、再現性のある改善が行われません。これも、経営者Xが採用施策として機能しにくい構造的な要因の一つです。
関連記事→採用X運用の始め方|フォロワー0から応募につなげる企業アカウント設計
第4章|採用につながる経営者Xの設計ポイント

ここまで見てきたように、経営者Xが採用につながらない原因は、発信内容そのものよりも、採用視点での設計がされていないことにあります。では、採用につながる経営者アカウントにするためには、どのような設計が必要なのでしょうか。この章では、採用広報として機能させるための基本的な設計ポイントを整理します。
経営者の思考・判断を採用文脈で切り取る
経営者の思考プロセスや判断基準は、そのまま企業文化を表す重要な情報です。ただし、単なる経営論として発信するのではなく、「どんな価値観で人や組織と向き合っているのか」が伝わる形で切り取ることが重要です。
例えば、事業判断の裏側を語る際も、「なぜその選択をしたのか」「社員や顧客にどんな影響があると考えたのか」といった視点を含めることで、求職者は自分がその組織に入ったときの姿をイメージしやすくなります。
社員やチームのエピソードを意図的に組み込む
採用につなげるためには、経営者の視点だけでなく、現場で働く人の姿が見える発信も欠かせません。社員の挑戦や成長、チームで乗り越えた出来事などを紹介することで、企業のリアルな雰囲気が伝わります。
これは単なる社内紹介ではなく、「どんな行動が評価されているのか」「どんな姿勢が歓迎されているのか」を示すメッセージにもなります。求職者は、そうした情報から自分がフィットしそうかどうかを判断しています。
仕事観・評価軸・期待値を言語化する
求職者にとって重要なのは、「何を頑張れば評価されるのか」「どんな働き方が求められるのか」といった期待値の明確さです。経営者の発信の中で、仕事への向き合い方や成果の捉え方が語られていると、入社後のギャップを想像しやすくなります。
評価軸や仕事観がまったく見えない場合、求職者は不安を感じやすく、応募をためらう要因になります。発信を通じて暗黙のルールを可視化することが、採用においては大きな意味を持ちます。
事業ビジョンと採用メッセージを接続する
採用は単に人を集める活動ではなく、企業の未来を一緒につくる仲間を探すプロセスでもあります。そのため、経営者の発信の中で、事業の方向性や中長期的なビジョンが語られているかどうかも重要です。
「この会社はどこに向かっているのか」「どんな成長を目指しているのか」が伝わることで、求職者は自分のキャリアとの重なりを考えやすくなります。ビジョンと日々の投稿が分断されていると、採用メッセージとしての一貫性が失われてしまいます。
第5章|経営者Xを採用施策として機能させるために必要な体制

前章で整理した設計ポイントを実行すれば、経営者の発信は採用広報として大きな力を持つようになります。しかし現実には、これらをすべて経営者一人で継続的に実行していくのは簡単ではありません。この章では、経営者Xを採用施策として機能させるために、なぜ体制設計が重要になるのかを整理します。
投稿設計とKPI管理の運用負荷
採用につなげる運用では、「どんなテーマの投稿が求職者に届いているか」「プロフィール閲覧や採用ページ遷移が増えているか」といった指標を見ながら改善していく必要があります。しかし、多くの経営者アカウントでは、投稿後の反応を感覚的に捉えるだけで、改善に活かす仕組みが整っていません。
本来であれば、採用広報としての役割を持つ以上、投稿テーマの設計、投稿比率の調整、数値の確認と改善といった運用サイクルが必要になりますが、日々の経営判断や業務と並行してこれを回し続けるのは現実的に大きな負担になります。
社内情報の整理と連携が欠かせない
採用につながる発信を行うためには、経営者の視点だけでなく、現場の情報や社員のエピソード、組織の動きといった社内情報を継続的に発信に反映させる必要があります。そのためには、人事や広報、現場との情報連携が欠かせません。
しかし実際には、「何を発信していいか分からない」「現場の情報が集まらない」といった理由で、経営者の発信が個人の思いつきベースに戻ってしまうケースも多く見られます。体制として情報が流れる仕組みがない限り、採用広報としての発信は安定しません。
改善を続けるための第三者視点の必要性
運用を続けていると、自分では投稿内容の良し悪しが判断しにくくなっていきます。何が採用に効いていて、何が機能していないのかを客観的に評価できないまま、同じ発信を繰り返してしまうことも少なくありません。
採用施策として成果を出すためには、第三者視点での分析や改善提案が入り、運用が属人化しない仕組みを作ることが重要になります。経営者個人の努力だけに依存した運用では、再現性のある成果を出し続けることは難しくなります。
第6章|伴走支援という選択肢と導入ハードルの現実

経営者Xを採用施策として機能させるには、発信設計だけでなく、運用体制や改善プロセスまで含めた取り組みが必要になります。そのため近年では、経営者の発信を企業施策として設計し、外部と連携しながら運用する企業も増えています。この章では、伴走支援という選択肢が選ばれている背景と、導入時に考慮すべき現実的なポイントを整理します。
成長フェーズ企業で支援導入が進んでいる背景
採用と事業拡大を同時に進めなければならない企業では、採用広報に十分なリソースを割けないケースが多くあります。専任の広報や採用マーケティング担当を置くにはコストも時間もかかるため、経営者の発信を軸にしながら、設計と運用を外部と連携して進める方が現実的な選択肢になる場合もあります。
特に、組織づくりと事業成長が並行して進む段階では、経営者の価値観や判断軸がそのまま企業文化に反映されやすく、発信の影響力も大きくなります。このフェーズで経営者Xを戦略的に設計することが、採用だけでなく、企業ブランド全体の土台づくりにもつながっていきます。
大企業では逆に運用が難しくなる理由
一方で、すでに組織規模が大きく、広報やIRの統制が厳しい企業では、経営者個人の発信を自由に設計すること自体が難しいケースもあります。発信内容のチェック体制やリスク管理の観点から、個人アカウントを採用広報の主軸に据えることが現実的でない場合も少なくありません。
そのため、経営者Xが採用施策として機能しやすいのは、発信の自由度が一定程度確保されており、経営者の言葉がそのまま企業イメージに直結しやすい企業フェーズだと言えます。どの企業にも同じ運用が当てはまるわけではなく、フェーズに応じた施策選択が重要になります。
月額10万円から始められる伴走型支援という形
経営者Xを企業施策として設計する場合、必ずしも大規模な予算や専任チームが必要になるわけではありません。発信設計、投稿方針の整理、運用改善の伴走といった部分を外部と連携することで、比較的少ない負担からスタートできる支援形態も存在します。
当社では、採用・ブランディング・顧客との関係構築までを視野に入れた経営者X支援を、月額10万円から導入できる形で提供しています。発信テーマの設計から投稿改善、社内連携の整理までを含めて伴走することで、経営者の発信が単なる個人SNSではなく、企業施策として機能する状態を目指します。
まとめ
経営者のXが採用につながらない原因は、発信量や投稿スキルの問題ではなく、採用視点での設計がされていないことにあります。会社視点の情報発信だけでは、求職者が知りたい働く環境や価値観が伝わらず、応募という行動につながりにくくなります。
求職者は、経営者の人柄、組織への向き合い方、仕事観、成長環境などを投稿から読み取り、「この会社で働きたいかどうか」を判断しています。そのため、経営者の発信は、採用広報としても極めて重要な役割を担っています。
経営者Xを採用施策として機能させるためには、発信内容の設計だけでなく、社内連携や改善体制まで含めた取り組みが必要になります。個人の努力に依存する運用ではなく、企業施策として設計し、必要に応じて外部と連携しながら進めることで、採用・ブランディング・顧客獲得を横断した信頼形成につなげていくことが可能になります。
:参考記事
・https://hrnote.jp/contents/saiyo-sns-sippai-20201201/?utm_source=chatgpt.com
・https://1049.co.jp/column/column_20250807/?utm_source=chatgpt.com
