2025.10.26

ビフォーアフター投稿のNG表現まとめ|薬機法・肌加工・AI規制に対応するInstagram運用マニュアル

美容業界のInstagram投稿の中でも、もっとも慎重な対応が求められるのが「ビフォーアフター投稿」です。
見た目の変化をわかりやすく伝えられる一方で、薬機法や景品表示法の規制対象になりやすく、投稿内容によってはアカウント停止や投稿削除といったリスクが生じることもあります。

さらに近年では、InstagramのAI技術による「加工判定」や「AI生成検知」が強化され、肌の補正・照明調整・輪郭修正といった“軽い加工”でも自動的にラベル付けされるケースが増えています。
つまり今は、
「法的リスク」+「AIアルゴリズムによる判定リスク」の両方に注意しながら投稿を作る必要がある時代です。

特に美容サロンやコスメブランドでは、
・「効果を伝えたいけれど、どこまで表現していいのか」
・「AI加工判定を受けたくない」
といった悩みを抱える担当者が増えています。

この記事では、
・薬機法・景表法の観点でNGとされる表現例
・InstagramのAIによる自動加工判定・AI生成ラベルの仕組み
・法令・AI両面に対応した“安全な見せ方”と投稿構成の工夫
を、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。

第1章:なぜ今、ビフォーアフター投稿が“危険”とされるのか

「効果がひと目で伝わる」「変化を見せることで説得力が増す」。
ビフォーアフター投稿は、美容業界における定番の訴求手法です。
しかし、その“見せ方”ひとつで薬機法や景品表示法に抵触するリスクがあり、2025年現在ではInstagramのAI監視機能によって自動的に制限を受けるケースも出てきています。


1.1 薬機法・景表法で問題視される「変化の表現」

薬機法では、医薬品や医薬部外品でない製品が「治る・改善する」などの効果をうたうことを禁止しています。
たとえ事実に近い内容であっても、次のような表現はすべてNGです。

  • 「シミが消えた」「毛穴がなくなった」
  • 「1回でたるみが改善」「ニキビ跡が薄くなった」
  • 「効果が持続する」「肌質が変わった」

また景品表示法の観点でも、比較画像やコメントで“実際よりも効果が大きいように見せる”演出は「優良誤認」とみなされる可能性があります。
たとえば、照明・カメラ角度・フィルターなどで印象を誇張している場合も対象です。


1.2 美容業界でトラブルが増えている背景

2024年以降、美容クリニック・コスメブランド・サロン各分野で、以下のような理由による投稿削除・アカウント制限が急増しています。

  • 薬機法に抵触する文言をキャプションに使用
  • 医療行為に見える施術紹介を一般化して投稿
  • 「お客様の声」「モニター体験談」形式で効果を断定
  • ビフォーアフター画像が誤認を招く加工・照明処理

特にInstagramでは、リールやストーリーズが主流になったことで、短時間で効果を見せる演出が増えました。
結果として、「変化を強調しすぎた」投稿がAIやユーザー通報で検出されるリスクが高まっています。


1.3 Instagram独自のAI検知機能によるリスク

Instagram(Meta)は2024年後半から、AIや機械学習による「画像加工・生成コンテンツの自動判定」を導入しています。
主な特徴は次のとおりです。

  • 肌補正・輪郭修正・照明加工・色調補正などをAIが検知
  • 生成AIを使った画像や動画には「AI-generated」ラベルが自動付与
  • 「Before/After」構成の投稿は、誤認防止の観点からおすすめ表示を制限されることがある

つまり今のInstagramでは、“違法ではなくても、AIが誤検知するリスク”が存在します。
法令順守と同時に、プラットフォームのAI基準に適した見せ方が求められる時代になっているのです。

関連記事:Instagramのアルゴリズムに好かれる美容アカウントとは?|#タグより重要な投稿構成の作り方

第2章:Instagramの「AI加工判定」と自動ラベルの仕組み

2024年以降、InstagramはAI技術を活用して、投稿内の「加工」「生成」「補正」を自動的に判定する仕組みを導入しました。
これは誤情報や虚偽広告を防止する目的で設計されており、特に美容系のビフォーアフター投稿は“AI判定の影響を最も受けやすいジャンル”です。


2.1 「AI生成・加工コンテンツ」自動検出の流れ

Instagramは、Meta社の画像分析モデルを活用し、以下のステップで投稿を解析しています。

  1. 画像解析フェーズ
     投稿内の人物・肌・背景をピクセル単位で解析し、光の反射・輪郭の変化・肌質補正などを検出。
  2. AI編集推定フェーズ
     既知の生成AIモデル(例:Runway、Firefly、DALL·Eなど)の特徴的なノイズパターンや構成を参照し、AI処理の可能性を推定。
  3. ラベル付与フェーズ
     AI生成または編集の可能性が高いと判断された場合、「AI-generated」や「Retouched(加工済み)」などの自動ラベルが付与される。

このプロセスは完全自動化されており、投稿者の意図とは関係なく判定される点が特徴です。


2.2 肌補正・明るさ調整もAI編集として扱われるケース

AI判定は、いわゆる「ナチュラルな修正」でも誤検知されることがあります。
特に以下のようなケースでは、加工判定ラベルが付く確率が高くなります。

  • 肌の質感を均一にする“美肌フィルター”を使用
  • 明度や彩度を自動調整するアプリで編集
  • 輪郭補正・リフトアップ加工などを行った写真
  • Before/Afterの差が極端に大きい画像

AIは「どこを修正したか」ではなく、「どの程度自然光の物理的特性から外れているか」を見ています。
そのため、“無意識の加工”でもAI基準では「編集済み」と判断される場合があります。


2.3 ラベル付与による影響

AI判定ラベルが付与された投稿は、次のような影響を受ける可能性があります。

  • おすすめタブ・リール面での露出制限
     加工ラベル付き投稿は「信頼度の低いコンテンツ」として扱われる傾向があります。
  • 広告出稿の制限
     特に美容・医療系ジャンルでは、AI生成素材が含まれる投稿を広告審査で通過させにくくなっています。
  • エンゲージメント低下
     ユーザーが“人工的”と感じるビジュアルは、保存・コメント率が下がりやすい。

このため、Instagramの運用では「どの程度まで編集して良いか」を事前にチームで統一しておくことが重要です。

第3章:薬機法・景表法の観点でNGとなるビフォーアフター表現

AI判定リスクと並んで、美容アカウントが注意すべきなのが薬機法・景品表示法の規制です。
どんなに自然な投稿でも、「効果・効能を暗示する表現」や「誤認を招く比較」は法律上の問題となる可能性があります。
ここでは、具体的なNG例と、安全に伝えるための代替表現を整理していきます。


3.1 NGとなる言葉・表現例

(1)改善・治療を連想させる表現

薬機法では、化粧品やエステサービスが「医薬品のような効果を示唆すること」を禁止しています。
以下のような表現はすべてアウトです。

  • 「たるみが改善した」
  • 「ニキビが治った」
  • 「シミが消えた」
  • 「毛穴が引き締まる」
  • 「1回でリフトアップ」

「効果があったように見える」程度でも、見る人に“治療効果”を誤認させる場合は違反と判断されます。


(2)ビフォーアフター画像で「結果」を強調

薬機法・景表法では、比較画像によって効果を誇張する表現もNGです。
たとえば、

  • 照明や角度を変えて撮影している
  • 加工やフィルターを使用している
  • 「短期間の変化」を演出している
    これらは「誤認を招く表示」とみなされるリスクがあります。

(3)体験談・口コミでも効果を断定

「お客様の声」「スタッフ体験」なども例外ではありません。
次のような言い回しは、主観的な感想でもNGとされる場合があります。

  • 「塗った瞬間にツヤが出た!」
  • 「この化粧水でニキビ跡がなくなりました」
  • 「このマシンで若返った気がします」

“体験談”形式であっても、「効果を保証している印象」を与えれば違反です。


3.2 OKに近い“言い換え”例

安全に情報を伝えるには、「実際の変化」ではなく「印象や使用感」を中心に表現します。
以下のように言い換えることで、薬機法のリスクを下げながら効果をイメージさせられます。

NG表現安全な言い換え例
シミが消えた肌が明るく見える仕上がりに
たるみが改善フェイスラインがすっきり見える印象に
毛穴が引き締まったメイクで毛穴が目立ちにくい仕上がりに
ニキビが治った肌の調子が整って見える
若返ったツヤ感のある印象に近づく

こうした“印象・見え方”の表現に変えるだけで、伝わり方が大きく変わります。


3.3 写真の“見せ方”にも注意

写真そのものも、法的に「表示内容」として扱われます。
以下のポイントを守ると安全です。

  • BeforeとAfterを並べる場合は、照明・角度・距離を統一する
  • 明度・彩度の加工は避ける
  • 比較を「変化」ではなく「雰囲気・印象」として見せる
  • 「撮影条件を記載」して誤認防止(例:「自然光下で撮影」「メイク後の印象」など)

第4章:安全なビフォーアフター投稿の作り方

ここまで見てきたように、ビフォーアフター投稿は「法的リスク」と「AI判定リスク」の両方に注意する必要があります。
しかし、これらを正しく理解すれば、“誤認させない範囲で変化を伝える”ことは十分可能です。
この章では、美容アカウントが安全に成果を見せるための構成や言い回し、写真表現のコツを紹介します。


4.1 安全な投稿構成の基本

リスクを回避しながら見せるには、「Before/Afterを直接比較させない構成」にするのが効果的です。
次のような“段階的ストーリー構成”がおすすめです。

例:美容サロン・スキンケアアカウントの構成パターン

  1. 導入(悩みの共感)
     「乾燥でメイクが崩れやすい」「肌がくすんで見える」など、誰もが抱く課題を提示。
  2. プロセス(ケア・施術・メイク工程)
     実際のケア中の写真や動画を入れることで、過程の信頼性を強調。
  3. 結果(印象の変化として見せる)
     「自然光で撮影した仕上がり」「明るい印象に見える」など、印象の変化にとどめる。
  4. まとめ(次の行動喚起)
     「乾燥が気になる方は保湿ケアを見直してみて」など、学びや気づきを促す。

こうした流れにすることで、「効果を誇張せずに変化を伝える」ことができます。


4.2 AI判定を避ける写真の撮り方・編集の工夫

InstagramのAIは、肌補正・明るさ調整・輪郭修正などを自動的に検知します。
そのため、投稿素材を作る段階から以下のような工夫をしておくと安全です。

  • 自然光で撮影し、露出を統一する
     AIは照明による明度差を「編集」と誤認しやすい。
  • 肌補正アプリを使わない
     “自然な明るさ”でもAIは修正を検知する場合があるため、極力無加工に近い素材を使用。
  • 背景・角度を一定に保つ
     比較画像が構図的に一致していれば、誤判定のリスクが下がる。
  • AI生成素材を使用する場合は明示
     AI生成や合成素材を使用する場合は、キャプション内で「画像はAI生成」と明記すると信頼性を保てる。

4.3 キャプションの「セーフワード」設計

キャプションは、法令リスクを避けながらユーザーにポジティブな印象を与える重要な要素です。
以下のような“安全な言い回し”を使うと良いです。

表現の目的NGワードセーフワード例
効果を伝えたい改善・治る・引き締まる印象が変わる・整って見える・すっきり見える
肌の変化を見せたい白くなった・ツヤが出たトーンアップして見える・明るく感じる
仕上がりを強調したい若返った・小顔になったバランスが整った印象・フェイスラインがシャープに見える
継続効果を示唆したい続けると変わる続けることで習慣が整う・ケアが習慣化しやすい

また、キャプションの最後に
「※写真は自然光下で撮影」「※個人の印象です」
などの補足を入れることで、AI・法令両方に対して安全性が高まります。


4.4 “信頼されるビフォーアフター”を作る考え方

いまのInstagramでは、“リアルさ”こそが最大の武器です。
過度な加工や演出で短期的に伸ばすよりも、「誠実な変化の見せ方」を続けたアカウントが、長期的にフォロワーの信頼を獲得しています。

・「変化を伝える」よりも「印象の違いを共有する」
・「結果」よりも「過程」や「気づき」を重視する

この姿勢こそが、薬機法・AI規制・アルゴリズムのすべてに対応できるInstagram運用の本質です。

関連記事:サロン・クリニックのX活用|“プロセス投稿”で信頼とファンを築く方法

第5章:AI・薬機法対応チェックリスト

ここでは、実際にInstagramでビフォーアフター投稿を行う前にチェックしておきたい項目をまとめました。
薬機法・景表法・AI判定の3つのリスクを網羅的に確認できる内容です。
チームでの投稿監修フローにもそのまま使えます。


5.1 AI自動判定への対応チェック

チェック項目内容判定基準
肌補正・美肌加工をしていないかフィルター・アプリ修正など✕ 加工検出の可能性あり
明るさや彩度を極端に変えていないか自然光ベースで統一○ 自然光 or 軽微補正のみ
Before/Afterの撮影条件が同じか角度・距離・背景○ 同一条件で比較
AI生成画像を使用していないかDALL·E、Runway等を使用✕ 使用時は「AI生成」明記
投稿後にAIラベルが付与されたか確認投稿公開後の表示確認○ ラベルが付かない or 意図的に表示

ポイント:
AI判定は自動検知のため「意図していない加工」でも誤認される場合があります。
投稿後も定期的に表示確認を行い、ラベル付与の有無を記録しておきましょう。


5.2 薬機法・景表法対応チェック

チェック項目内容判定基準
効果を断定する言葉を使っていないか「治る」「改善」「変わる」など✕ 使用NG
使用感・印象で表現しているか「明るく見える」「印象が変わる」など○ 使用OK
照明・角度・距離を統一しているか比較画像の信頼性確保○ 同一条件
Before/Afterの差が極端すぎないか短期間の変化演出✕ 誇張表現に注意
体験談形式で効果を保証していないか「〜で良くなりました」など✕ NG表現

ポイント:
ビジュアルだけで「効果がある」と誤認される場合も違反対象になります。
投稿構成そのものを“印象・体験ベース”に設計することが重要です。


5.3 運用チームで共有すべき監修フロー

  1. 構成チェック:法令+AI基準を満たすかを社内レビュー
  2. クリエイティブ確認:加工・照明・角度の統一を再確認
  3. キャプション校正:NGワード・誇張表現を削除
  4. 公開後モニタリング:AIラベルの有無やコメント反応を確認
  5. 月次振り返り:削除・制限を受けた投稿の傾向を共有

このフローを定期化することで、アカウント全体の“透明性と信頼性”を維持できます。


5.4 まとめ

AIや薬機法による制限は、投稿を止める理由ではなく、「より信頼される表現を作る指針」と考えることが大切です。
「誤認を招かない」「誠実に伝える」ことを軸に運用を続けることで、Instagramのアルゴリズムからもユーザーからも長期的に評価されるアカウントに成長します。

まとめ

Instagramにおけるビフォーアフター投稿は、もはや「映える」だけでは通用しない時代に入りました。
いま求められているのは、法的にもAI的にも“正しく伝える力”です。

薬機法や景品表示法のルールを守ることはもちろん、InstagramのAIが自動で加工を検出する時代では、「どう見せるか」「どう言葉で補うか」までを含めた投稿設計の精度が、ブランドの信頼を左右します。

美容サロンやコスメブランド、インフルエンサーにとっても、
・誤認させない構成
・ナチュラルで信頼されるビジュアル
・印象を中心に伝えるキャプション
この3点を意識することで、規制対応と同時にファンの共感も獲得できるようになります。

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