2026.10.28
SNS運用は内製と外注のどちらが安いか|担当者の工数を人件費に置き換えて比べる
SNS運用代行の見積もりを社内で共有すると、この金額を払うくらいなら自分たちでやったほうが安いのではないか、という声が必ず出ます。言い分としてはもっともです。外注には請求書が届きますが、社内で運用する費用には請求書が届かないため、負担が見えません。
内製と外注を同じ土俵で比べるには、担当者がSNSにかけている時間を金額に直す必要があります。この記事では、その計算の手順を示したうえで、内製が向いている場合、外注が向いている場合、その中間にあたる進め方を整理します。社内で予算を検討する際の材料としてお使いください。
内製の費用は、担当者の時間を金額に直すと見えてくる

内製にかかる費用のうち、大半は人件費です。投稿の企画から分析までを誰がどれだけの時間で行っているかを洗い出し、時給に換算すれば、外注費と同じ単位で比べられます。
まずSNS運用で発生する作業を書き出す
企業のSNS運用では、次のような作業が毎月発生します。
このうち、社内で行っている作業に、1か月あたりどれくらいの時間をかけているかを書き出します。担当者の記憶だけでは短めに出がちなので、2週間ほど実際に記録を取ると精度が上がります。
時間を人件費に換算する
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年速報)では、一般労働者の所定内給与額は月額34万600円です。月の所定内労働時間を160時間と置くと、時給はおよそ2,100円になります。会社が負担する社会保険料を加えると、1時間あたりおよそ2,400円です。
自社の給与水準がわかる場合は、その金額で計算してください。ここでは説明のために2,400円で計算します。
試算の例
ココアンドにご相談いただく企業の状況から見ると、企画から分析、社内への報告までを社内で一通り行う場合の工数は、月80〜160時間程度が目安です。人件費に直すと、月およそ19万2,000円から38万4,000円になります。
下の表は、この範囲の中ほどにあたる120時間を、作業ごとに分けた例です。
| 作業 | 月の時間 | 人件費の換算 |
|---|---|---|
| 投稿の企画とネタ出し | 4時間 | 約9,600円 |
| 撮影と素材集め | 8時間 | 約1万9,200円 |
| 画像の制作と編集 | 10時間 | 約2万4,000円 |
| 動画の構成作成と編集 | 25時間 | 約6万円 |
| キャプションとハッシュタグ | 3時間 | 約7,200円 |
| 投稿の公開と確認 | 3時間 | 約7,200円 |
| 初速の確認とモニタリング | 5時間 | 約1万2,000円 |
| いいね周りの実行やコメントの確認 | 30時間 | 約7万2,000円 |
| 数値の記録と分析 | 4時間 | 約9,600円 |
| 媒体情報やトレンドのキャッチアップ | 8時間 | 約1万9,200円 |
| 社内への報告資料作成 | 20時間 | 約4万8,000円 |
| 合計 | 120時間 | 約28万8,000円 |
自社の担当者が実際にかけている時間を入れて計算してください。投稿本数が多い場合や動画に力を入れている場合は、社員1人の月の所定労働時間にあたる160時間を超えることもあります。
人件費以外にかかるもの
人件費のほかに、デザインツールや素材の利用料、撮影のための機材や場所、キャンペーンの景品代、広告を配信する場合の広告費がかかります。また、担当者がSNSのアルゴリズムや編集技術を学ぶ時間も、立ち上げ期には無視できません。
内製には、表に出てこない負担がある

試算の金額だけを見ると、内製のほうが安く見えるかもしれません。ただし、内製にはこの表に出てこない負担が4つあります。
企画から分析までを、1人で担うのは難しい
表の作業を見ると、企画、撮影、画像や動画の制作、文章、投稿後のモニタリング、数値の分析と、工程ごとに求められる専門性が違います。そのすべてを1人で高い水準でこなせる担当者は多くありません。不慣れな工程に時間がかかったり品質が落ちたりして、試算どおりの時間に収まらないこともあります。
投稿の時間帯も負担になります。SNSを見る人が増えるのは、通勤や通学の時間帯、平日の夜、土日です。その時間に合わせて投稿し、正しく公開されたかを確かめる作業は、平日の日中に働く社員にとって続けにくいものです。
成果が出るまでの試行錯誤の時間
アカウントの方向性、投稿の型、ハッシュタグの選び方、動画の構成は、やりながら固めていくものです。最初の数か月は、作った投稿がほとんど伸びないまま時間だけが過ぎることもあります。中には、2〜3年運用しても投稿数ばかりが増えて成果が出ていない、あるいは成果をそもそも計測できていないケースもあります。この期間も人件費は発生しています。
担当者が離れると止まる
社内の1人に運用が集中すると、その担当者の異動や退職で運用が止まります。投稿の背景や判断の理由が共有されていなければ、次の担当者はまた試行錯誤から始めることになります。
ほかの仕事の時間を削っている
SNSの作業時間は、担当者が本来やるべき仕事から引かれています。月に80〜160時間であれば、週に2〜3日分から、社員1人の勤務時間のほぼすべてをSNSに使っている計算です。その時間で何ができたかまで含めて考えると、内製の費用は試算より重くなります。
外注の費用は、任せる範囲で決まる
外注の費用は、どこまでを任せるかで変わります。目安は次のとおりです。
- 投稿の制作と投稿作業のみ:月20万円程度まで
- 戦略設計、企画から分析まで一通り:月40万〜150万円前後
- 広告やインフルエンサー施策まで含む:月100万円以上
ココアンドのSNS運用代行は原則月額40万円からで、企業やブランドごとのコンセプト設計やKPI設計を含む運用戦略の設計から、企画、分析までを一通り任せる価格帯にあたります。基本プランには、コンセプト設計、KPI設計、企画、プランに応じた撮影、制作、投稿の公開と確認、初速の確認とモニタリング、いいね周りの実行やコメントの確認、キャンペーン企画、定例会、資料作成をすべて含んでいます。運用開始までには1〜2か月をいただき、運用戦略の策定や運用方針のすり合わせを行います。12か月契約の場合、初期費用はいただいていません。いずれも2026年10月時点の内容です。
費用の内訳と、見積もりを比べるときの確認点は、インスタ運用代行の費用相場と月額料金の内訳でも詳しく解説しています。
サービスサービス一覧外注費に含まれているもの
外注の月額は、投稿の制作費だけではありません。アカウントの戦略設計、デザインと動画の制作、毎日のモニタリングや見込み客へのいいね周りなどのアクション、数値の分析と改善提案、定例会での報告までを含んだ金額です。
ココアンドでは、戦略策定、企画、撮影、制作、アクション、分析、資料作成などをそれぞれの担当者が受け持ち、経験豊富なプロデューサーがすべてのプロジェクトを監修しています。アクションはターゲティングを精査したうえで1日100件以上のフォローやいいねを手作業で実行し、エンゲージメント率の向上を重視するプランでは月3,000件以上を実施して、日別でも記録と分析をしています。
工程ごとに専門の担当者がつく
外注のいちばんの利点は、工程ごとに専門の担当者がつくことです。ココアンドでは、動画の構成や編集を短尺動画の専門家や動画編集者が、トレンドのリサーチを現役のインフルエンサーを含むチームが担当します。作業に慣れた担当者が進めるため、社内で行うより短い時間で済むことも多く、品質も一定以上に保てます。
投稿は、平日の夜や土日にも対応しています。予約投稿の機能を使う場合も、正常に公開されたかを投稿の担当者が必ず確認します。公開後は、アカウントに応じて投稿から7日後や30日後の数値を記録し、アルゴリズムの動きや企画で検証したかった点を踏まえて分析し、次の企画に反映します。
媒体の仕様やアルゴリズムの情報も、組織で集めています。全プロジェクトの担当者がトレンドの投稿や運用手法を常に共有する「施策大全プロジェクト」に加え、案件を統括するディレクターが集まる会議で、うまくいった事例とうまくいかなかった事例を共有し、各案件に反映しています。アルゴリズムの変化も独自に検証してデータを蓄積しているため、新しい機能を取り入れるかどうかの判断やKPIの設計にも迅速に対応できます。
社内の1人が兼任で担う体制とは、投入できる人数も専門性も違います。外注の月額は、こうした体制をまとめて使うための費用です。
判断の分かれ目は、金額ではなく、何を社内に残したいか

内製と外注は、金額だけで決められるものではありません。自社の状況によって、向いている形が変わります。
内製が向いている場合
商品やサービスの知識が投稿の質を左右する場合、内製が力を発揮します。現場でしか撮れない写真がある、顧客からの質問に即答できる、社内で判断してすぐ投稿できる、といった強みは内製ならではです。ただし、担当者の時間を確保できること、学習に時間を割けることが前提になります。
外注が向いている場合
担当者が兼任で、まとまった時間を取れない場合は外注が向いています。立ち上げを急ぎたい場合、デザインや動画の品質を一定以上に保ちたい場合、投稿を途切れさせたくない場合も同じです。社内の担当者は、確認と判断に専念できます。個人のフリーランスに依頼する場合との違いは、インスタ運用代行を個人に依頼する場合と会社に依頼する場合の違いで整理しています。
外注した場合に社内へ残る作業と、依頼から公開までの進め方は、SNS運用代行はどこまで任せられるか|依頼から公開までの流れと、社内に残る仕事で整理しています。
予算の都合で内製を続ける場合
ココアンドにご相談いただく企業で、内製を続ける理由として最も多いのは予算の配分です。ご担当者が外注の必要性を感じていても、ほかのマーケティング施策との優先順位から、上長の承認が下りないケースがあります。予算が限られている企業では、短期的な売上につながりやすい広告が優先されやすいためです。
ただ、広告は競合他社も同じように力を入れている施策です。広告だけで差をつけ続けるのは難しく、中長期の差別化には、SNSを通じたお客様との継続的な関係づくりが効いてきます。短期の費用対効果だけでSNSの優先順位を決めるのか、将来の競争力への投資として位置づけるのかが、判断の分かれ目になります。
内製と外注の中間を選ぶ
全部を抱えるか、全部を任せるかの二択ではありません。戦略設計と分析だけを外部に任せて制作は社内で行う、動画の制作だけ依頼する、立ち上げの半年だけ任せて軌道に乗ったら社内に戻す、といった組み合わせも取れます。
ココアンドでは、運用代行のほかに、社内で運用するためのコンサルティングにも対応しています。アカウントの設計、投稿の型、アクションの手法、デザインツールの使い方をお伝えし、社内のチームが自分たちで回せる状態を目指します。
資料お役立ち資料社内で回せるようになるまでの期間は、担当者のスキルや体制によって異なりますが、6か月から18か月程度が目安です。つまずきやすいのは、次の4点です。
- 投稿ネタの不足や、日常業務との兼務で、企画と制作が続かない
- 投稿はできても、数値をもとに改善策を考えられない
- コメントへの対応や、ネガティブな投稿の早期発見といった日々の見守りが負担になる
- 特定の担当者に業務が集中し、異動や退職で運用が止まる
投稿の制作だけでなく、お客様とのやり取り、リスクへの対応、効果の分析までを続けられる体制をつくることが、内製化で最も難しい部分です。
内製を選ぶなら、先に決めておきたいこと
内製を選んだ場合、担当者の意欲だけに頼ると、半年ほどで投稿が止まります。続けられる体制にするために、次の4つを決めておいてください。
担当者の時間を、業務として確保する
SNSの作業時間を、空いた時間にやるものとして扱わないでください。週に何時間を充てるかを決め、ほかの業務量を調整します。時間を確保しないまま始めると、繁忙期に真っ先に投稿が止まります。
投稿の型を文書化する
使う色やフォント、キャプションの書き出し方、ハッシュタグの選び方を文書に残します。担当者が変わってもアカウントの見え方を保てますし、新しい担当者の立ち上がりも早くなります。
投稿頻度の下限を決める
毎日投稿を目標にすると、続かなかったときに全体が止まります。週に何本までなら無理なく出せるかを先に決め、その本数を守る形にしてください。頻度の考え方は、インスタグラムの投稿頻度の目安と、頻度を維持する秘訣で解説しています。
数値の記録を習慣にする
投稿ごとのリーチ、保存、プロフィールへの遷移を毎月記録します。記録がなければ、伸びた理由も伸びなかった理由も説明できず、改善が感覚頼りになります。
まとめ
内製と外注を比べるときは、まず社内の作業時間を書き出し、人件費に換算してください。請求書の来ない費用を金額に直して初めて、外注費と同じ単位で比べられます。
そのうえで、1人ですべての工程を担う負担、試行錯誤の時間、担当者が離れたときの影響、ほかの仕事から引かれている時間まで含めて考えます。金額だけを見れば内製が安く見える場合でも、立ち上げの速さや投稿の品質、継続のしやすさを含めると判断は変わります。
ココアンドでは、運用をすべて任せる形と、社内で運用するためのコンサルティングの両方をご用意しています。自社の場合にどちらが合うかを知りたい方は、お問い合わせフォームから、お気軽に無料でご相談ください。社内の工数を伺ったうえで、任せる範囲のご提案もいたします。
